2022年プリツカー建築賞をブルキナファソとドイツ、両国を拠点に活動する建築家ディエベド・フランシス・ケレ氏が受賞しました。米ハイアット財団が3月15日午前10時に発表しました。ケレ氏は1965年、西アフリカのブルキナファソ生まれ。祖国を含むアフリカに長く心を砕き、貢献してきた建築家が栄光を手に。
ケレ氏は、建築家であり、教育者や社会的活動家としての顔も持ち合わせていることなどが評価されました。設計活動はブルキナファソとドイツの両国で行い、アフリカを中心にドイツやデンマーク、英国、米国などでプロジェクトを手掛けてきました。
ハイアット財団のトム・プリツカー会長は、ケレ氏について次のようにコメントを発表しました。「世界が極端な土地不足に陥っている状況の中で、フランシス・ケレ氏は、地球とその住民を持続可能にする建築家として先駆的な存在である。彼は建築家でありながら、それと同じぐらい、世界中で忘れ去られていた地域の、数えきれない市民たちの生活と体験を向上させるために奉仕する人でもある。彼の建築物は、それを通じて美しさや慎み深さ、大胆さ、発明力を表している。ケレ氏は、彼の建築や、彼自身の振る舞いの高潔さにより、プリツカー賞の使命を高めてくれた」
←米国モンタナ州で2019年に完成した「Xylem」約1万2000エーカーの広大な牧場にある。来訪者のための避難所（写真：Iwan Baan）
←英国ロンドンのケンジントンガーデンに設置したケレ氏のサーペンタインパビリオン（写真：Iwan Baan）
ケレ氏は、人生において故郷を忘れたことはなかった。ブルキナファソの首都ワガドゥグから南へ200km離れたガンド村が出生地。「幼稚園はなく、コミュニティーは家族だけという環境で育った。皆が自分のことを気に掛けてくれた。村全体が遊び場だった。その頃の思い出といえば食べ物や水の確保ばかりだが、シンプルに皆で一緒に過ごして、一緒に話して、一緒に家を建てていた。」ケレ氏は幼少時代の原風景をコメントでこう述懐しています。
ケレ氏は町長の末っ子として生まれた。しかしガンドに学校はなく、7歳のときに家族が13km離れた町まで進学させてくれた。遠方の町まで行って勉学に励む子どもは、その村で初めてのことだった。同国の中南部に位置するテンコドゴでは、空調や照明がなく、セメントブロックで建てられた教室が学び舎だった。「いつか学校をよくしたい」。幼い少年が建築家への道を歩み始めるきっかけとなった。
←ガンド小学校（写真：Erik-Jan Ouwerkerk）ほぼ同一の建物を隣に追加し、繋げる設計を提案。
2005 年にフランシス・ケレ によって設立された Kéré Architecture は、デザインと社会的コミットメントに重点を置いて、アフロフューチャリストのビジョンで想像力を養う現代建築を設計および構築しています。 伝統に基づいて、スタジオは建設の新しいモードと、地元の資源と参加型の設計方法の革新的な使用法を探求しています。 フランシス・ケレは、アフリカ大陸の声に捧げられた 2 つのインスタレーションのデザイナーとして参加し、第 23 回トリエンナーレ ミラノのキュレーターを務めました。 今年、スタジオはウガンダのカンパラにカムウォキャ コミュニティ プレイグラウンドを完成させました
授賞式で、プリツカー審査委員長で 2016 年受賞者のアレハンドロ・アラベナ氏は、「私たちはツールボックスを拡大している」と述べました。 チリの建築家は、「これまで見たことのない課題に直面している新しいロールモデル」に対するケレの貢献の重要性を強調しました。「今日、私たちに別の可能な道を示してくれて。」 以前の受賞者であるノーマン フォスター (1999 年)、レム コールハース (2000 年)、グレン マーカット (2002 年)、ジャン ヌーベル (2008 年)、ファレルとマクナマラ (2020 年)、アン ラカトンとジャン フィリップ バサル (2021 年) による考察は、ケレのことを証明しています。 「美しさ、謙虚さ、大胆さ、そして発明を同時に」提示する能力。 バサル は ケレの作品を「建築ではあまり使わない言葉、幸福、優しさ、機敏さ」で説明しています。
「彼は建築家として価値を見出し、作家たちの才能を結集して作品を作り上げています。これは建築において非常に重要であり、非常に新しいことです。」 ジャン＝フィリップ・バサル
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