福岡県筑紫野市の注文住宅会社 悠建築工房スタッフによるブログです。

tel.092-919-8385

営業時間/9:00 ~18:00

  • facebook
  • instagram
悠建築工房スタッフブログ

2020 Pritzker Architecture Prize

[2020.4.12更新]

40年前に建築学校で出会って以来、友人であり、お互いの師であり、ビジネスパートナーでもある、アイルランド人の女性建築家ユニット。彼女たちが、建築の世界で最も権威のある賞とされる“2020年プリツカー建築賞”を受賞したことが、3月3日(火)に発表されました。ダブリンを拠点に活躍する「グラフトン・アーキテクツ」のイヴォンヌ・ファレルとシェリー・マクナマラについて、「軽薄な表現を用いることなく、徹底的に合理的な建造物を生み出している」と評しました。「彼女たちは、必要であれば企業・団体向けの、大規模な建物を上手く作りあげることもできます。しかしそうした場合にも、建物を区分けしてディテールを施すことにより、内部にコミュニティを生み出すような、より親密な空間をつくり出しているのです」

審査員は授賞理由について、「伝統的に、また現在においても男性優位の建築という専門分野におけるパイオニアであるファレルとマクナマラは、建築家としても模範的と言える道を築き上げ、多くの人たちの指標となっています」「建物と彼女たちのやり方を実践していく手法に対する誠実なアプローチ、共同作業における信頼、2018年の『ヴェネチア・ビエンナーレ』などで見せた同業者への寛容さ、素晴らしい建築のための絶え間ない取り組み、環境に対する責任ある姿勢、それぞれの作品において場所ごとの特性と取り込みながら国際的な視点を持ち続ける能力」などを挙げています。

 

ファレル(写真左側)とマクナマラ(右側)は、1970年代初めにユニバーシティ・カレッジ・ダブリン(UCD)の建築学校で出会いました。卒業以来30年に渡り、2人はUCDで教鞭をとり続けています。実際、ファレルとマクナマラの建物は、その建物が存在する都市的環境を何よりも優先します。

「建物が建設される特定の場所、建物が内包する機能、そしてとくに建物と空間を利用し居住する人たちのために、彼女たちは最高品質の建築を、ためらうことなく追求してきました」と審査員は語ります。

 
20年以上、2人の仕事は出身地であるアイルランド国内に限られ、その設計の多くは山々や渓谷の姿に影響を受けたものでした。のちに、その地形からの影響は国際的なプロジェクトにも持ち込まれることとなります。それは有機的な曲線や屈曲ではなく、断崖を思い起こさせるような無骨なアングルや形状を多用したことからもわかります。アイルランド国外初のプロジェクトは実務を開始してから25年後、2008年のミラノのボッコーニ大学でした。
ミラノボッコーニ大学 (2008) 写真:Federico Brunetti
 
2015年にペルーのリマに建設された工科大学UTECのキャンパスは、谷間を走る高速道路に隣接するという厳しい条件の敷地に建てられており、流れ落ちるような階段状のデザインをしています。そのデザインは、ペルーのアンデス山脈高地に階段状に連なるインカ帝国の砦、マチュ・ピチュからインスピレーションを受けたのだそうです。
ペルーのUTECリマ・キャンパス(2015) 写真:Iwan Baan

リマの大学キャンパスは、この写真の中央上部にある高速道路の橋の後ろ側に位置しています。彼女たちは、一方を交通量の多い高速道路、他方を街の低層建物エリアの端と接する、この難しい敷地をうまく処理することに成功しました。 彼女たちはこのプロジェクトについて、「建物の北側は“新しい崖”として機能し、南側は階段状の庭園とオープンスペースが設けられ、低層の都市スケールとの融合を模索しています」と記しています。
 
審査員は、ファレルとマクナマラの建築によくみられる特徴について、こう指摘します。
 
「建物の奥深くにある内部空間を、建物外部のより大きな世界と視覚的に結ぶ、複雑な断面の設計への深い理解があります。内部深くまで射し込む自然光は、空間に生命を吹き込んでくれます。天窓や、上層階の窓から建物内部全体に光が射し込んで、あたたかみや視覚的な効果を生んでいる例がしばしばあります。これが、建物内部で過ごす人にとって、その環境に容易になじむための手助けとなり、屋外との繋がりをつくり出しています」
 
受賞に際してファレルは、「建築は地球上で最も複雑で大切な文化的活動の一つだと言えると思います」「建築家であるということはとても光栄なことであり、この受賞は私たちの建築に対する信念への素晴らしい支持だと思います。この大きな名誉に感謝します」と答えています。
 
ファレルとマクナマラは、「自分たちはキャリアにおいて、社会的に認知されることを、これまで求めてこなかった」とニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに答えました。「認知されることよりも、考え方や価値観の追求を選んだ」とマクナマラは続けます。「必要であれば、私たちはモニュメンタルで仰々しい表現を行うこともありますが、一歩引いて、その場所の背景に溶け込むことも恐れません。壮大な空間を作ることも考えますが、同時に、私たちが作り出す空間の中で人々がどう感じるを考え続けています。自分たちの取り組むべき課題は、人間主義的な問題であると私たちは考えていて、このことを最重要視しています」
 
kinoshita

(注文住宅・木造住宅・家を建てるなら筑紫野市の悠建築工房へいつでも相談下さい)

 
 

カレンダー

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
TOPへ戻る